セミナー講師へのインタビュー記事
株式会社ワイズスタッフ 代表取締役 田澤由利氏
1962年奈良県生まれ。上智大学外国語学部イスパニア語学科卒業。シャープ株式会社にてパソコンの技術、企画、販売促進等の業務に従事したが、結婚・出産によりやむなく退職。その後、フリーライターとして独立し、3人の娘の子育て、夫の5度の転勤による引越しを経つつ、SOHO(テレワーカー)として、パソコン関連の書籍や雑誌の執筆を行う。
1998年、インターネット上で会社を運営する「ネットオフィス」を実践するため、夫の転勤先であった北海道北見市にて、ワイズスタッフを設立。2004年に2番めの拠点として奈良オフィスを開設し、翌年株式会社へ組織変更。現在、インターネット上で、海外を含む全国各地のテレワーカーであるスタッフ約150名とともに、50以上のプロジェクトを同時に運営している。主な業務内容は、ホームページ制作・メールマガジン編集・マーケティングなど。
女性はもちろん、地方在住者、高齢者、障がい者も「ネットで働ける社会」を実現することをライフワークとして取り組んでいる。
Q1. 在宅ワークについてお聞きします。これまでの在宅ワークを踏まえ、現在の在宅ワーク市場の状況についてお聞かせ下さい。
- 在宅ワークは2000年前後にブームが起こり、インターネットとパソコンを使って「家で働きたい」と、在宅ワークのニーズが高まりました。しかし、実際には「データ入力」等の業務が中心で、仕事が少ない、報酬が安い、悪徳業者もいる等、厳しい現実がありました。さらに、安い海外労働力へのアウトソーシング、個人情報保護法やリーマンショック等の影響により、在宅ワークへの発注が減ってきたのも事実です。
- しかし、国が2010年に「在宅型テレワーカーを700万人にする」という目標をかかげていること、インターネット上でも安全にデータを扱うことができるクラウドシステム等の技術が進歩してきたことなど、今まさに、新しい「在宅ワーク」の時代がやってこようとしていると思います。従来型の在宅ワークではなく、企業のニーズにあった、より高度な業務をコストパフォーマンスよく、かつ、安全に実施することができれば、「在宅ワーク」は新しい段階に進むことができると考えます。
Q2. 在宅ワークにおいて、3.11の東日本大震災を受けて、学んだことや考えさせられたことはありますか。
- 3.11で多くの方が仕事を失いました。実際に被災された方から聞いた話では、失業していなくても、大変な状況下にあって家族のそばにいるために自ら仕事を辞めた女性も少なくないそうです。収入が減る中、家族のそばで、また、被災地において仕事をするという意味において、在宅ワークは被災地支援という上で大きな役目を担っていることを実感しています。
- また、被災地だけでなく、日本中どこでも災害が発生する可能性があります。会社はもちろん、個人の危機管理という意味でも、在宅ワークの重要性を改めて感じました。
Q3. 今後、在宅ワークが発展する可能性のある業務や分野について、お考えをお聞かせ下さい。
- IT業界は日々刻々と変化しています。その流れを早くつかみ、近い将来ニーズが高まるであろう技術を身に付けることで、仕事の範囲が広がります。たとえば、電子書籍やFacebook等のソーシャルネットワークやe-ラーニングなど、今後広がる市場に向けて、技術をみがき、業務を開拓していくことが必要です。在宅ワーカー側も、より高度な仕事を責任もって請け負えるような体制作り、具体的には、「グループワーク」による業務体制を作っていく必要があります。
Q4. 最後に、本年度の在宅就業セミナーについて、セミナーにはどのような方にお越し頂きたいか、また、セミナーに参加された方にどのような事を習得して帰って頂きたいとお考えでしょうか。
- すでに在宅ワークをしている方はもちろん、在宅ワークをしたいという思いは強いのに、どうして良いか分からない、という方に気軽に来ていただきたいです。セミナーでは、「どうして在宅ワークでは仕事がなかなか見つからないか」、「どうして在宅ワークだと報酬が少ないのか」という、これまで感じた素朴な疑問にお答えしつつ、どうすれば解決できるか、どうすべきなのかを感じていただけたらと思います。